今後50年で世界4400万人が子宮頸がんに
Impact of scaled up human papillomavirus vaccination and cervical screening and the potential for global elimination of cervical cancer in 181 countries, 2020-99: a modelling study

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet Oncology
年月
March 2019
20
開始ページ
394

背景

子宮頸がんは大半がHPVワクチンにより予防可能であるが、世界的な接種率は低く重要な公衆衛生問題である。オーストラリアCancer Council New South WalesのSimmsらは、統計トレンド解析とモデリングにより2020〜2069年の累積子宮頸がん発症と、このうち世界的なワクチン接種と検診の拡大により回避可能な割合を算定した。

結論

さらなる介入がなければ、2020〜69年に世界で4440万人が新たに子宮頸がんと診断される。このうち2/3は人間開発指数(HDI)が中・低の国で発生する。ワクチン接種率が80〜100%へと速やかに上昇した場合、670〜770万人が子宮頸がんを回避できる。また世界の70%を占める後発発展途上国で生涯2回のHPV検診を実施することで1250〜1340万人が回避可能である。ワクチン接種・検診率を速やかに上昇させることができれば、今世紀末までにすべてのHDIカテゴリー国で子宮頸がん発症を女性10万人あたり年4件以下に低下させることができる。

評価

2018年にはWHO事務局長が呼びかけを行うなど、子宮頸がんは重要な公衆衛生問題として認識されており、ASCOは医療資源の限られた国にも対応したガイドラインを作成している。一方、多くの先進国でHPVワクチン接種が行われているなかにあって、日本はその数少ない例外である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)