クローン性造血(CHIP)ドナーからの造血幹細胞移植は安全
Role of Donor Clonal Hematopoiesis in Allogeneic Hematopoietic Stem-Cell Transplantation
背景
高齢者の約20%に未確定の潜在能をもつクローン性造血(CHIP: clonal hematopoiesis of indeterminate potential)がみられ、血液悪性腫瘍リスクの上昇と関連するが、造血幹細胞移植のドナーとなることができるのか。ドイツCharite - University Medical Center BerlinのFrickらは、500名の健康な血縁同種造血幹細胞移植ドナーの血液サンプルを収集し、66遺伝子パネルのターゲットシーケンシングを行い、ドナーのCHIPとレシピエント・アウトカムとの関連を評価した。
結論
16.0%のドナーで92のクローン性変異が同定された。CHIP有病率は、リンパ性腫瘍より骨髄性腫瘍の患者ドナーで多かった(19.2% vs. 6.3%)。CHIPドナーから移植を受けたレシピエントでは、慢性移植片対宿主病の累積発症率が高く(ハザード比1.73)、累積再発・進行率が低く(0.62)、非再発死亡率に差はなかった。ドナーのCHIPステータスは全生存期間にも影響しなかった。
評価
慢性GVHDと再発・進行リスクには差が見られたもののトータルの生存期間に差はなかった。CHIPドナーからの移植は概ね安全と考えられるが、結論を下すにはより大規模な研究が必要である。