喫煙者のCRP濃度は肺がん発症リスクと関連する
Circulating high sensitivity C reactive protein concentrations and risk of lung cancer: nested case-control study within Lung Cancer Cohort Consortium
背景
C反応性タンパク(CRP)の濃度が、喫煙者の肺がんリスクと関連するとの報告があるが、矛盾する報告もある。フランスInternational Agency for Research on CancerのMullerらは、アジア・ヨーロッパ・オーストラリア・アメリカの20の住民コホートを対象として、高感度CRP濃度と肺がんリスクの関連を検証するコホート内症例対照研究を実施した。
結論
5,299名で肺がん発症があり、罹患密度により対照とマッチングされた。血中hsCRP濃度は、現在喫煙者(濃度倍ごとのオッズ比1.09)・過去喫煙者(1.09)とも、肺がんリスクと正に相関した。一方で喫煙歴のない集団では関連はみられなかった。腺がんでは喫煙状態にかかわらず、hsCRP濃度とリスクとの関連はみられなかった(0.97)。hsCRP濃度と肺がんリスクの関連は測定後最初の2年で高く、リスクモデルにhsCRP濃度を追加すると、最初の2年間におけるがん診断弁別能がわずかに向上した。
評価
慢性炎症はがんの発生に寄与する可能性が指摘されており、hsCRPマーカーとがんとの関連が調査されてきた。採血後2年でリスクが増加するとしたこの研究は、高hsCRP濃度が、発症の原因となる炎症ではなく診断される以前の疾患を捉えている可能性を示唆する。