HER2陽性乳がんでの術後トラスツズマブ期間の短縮、非劣性示せず:Short-HER試験
Nine weeks versus 1 year adjuvant trastuzumab in combination with chemotherapy: final results of the phase III randomized Short-HER study

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Annals of Oncology
年月
December 2018
29
開始ページ
2328

背景

HER2陽性乳がんでの術後療法は、化学療法に加えて1年間のトラスツズマブが標準となっているが、トラスツズマブ期間の短縮も模索されている。イタリアUniversity of PadovaのConteらは、HER2陽性乳がん患者での術後化学療法(アントラサイクリン・タキサン)に加え、1年間または9週間のトラスツズマブを併用する第III相ランダム化比較非劣性試験Short-HERを行った(n=1,254)。

結論

5年無病生存率は1年群88%・9週間群85%、ハザード比は1.13(90%CI 0.89-1.42)であり短期投与の非劣性は示されなかった。5年全生存率は、1年群95.2%・9週間群95.0%であり、心イベントは9週間群で有意に減少した(リスク比0.33)。

評価

延長・短縮の両方で検証が行われているが、短縮方向では6ヶ月投与を検証したPHARE試験(http://doi.org/10.1016/S1470-2045(13)70225-0)、9週のSOLD試験(http://doi.org/10.1001/jamaoncol.2018.1380)に続き、非劣性証明に失敗した。とはいえ本試験のBayesian解析によれば9週投与が非劣性である確率は80%であり、心毒性の軽減も考慮すれば説得力のあるオプションと考えられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)