限局性前立腺がんでの根治的切除、待機療法に優る:SPCG-4試験の29年結果
Radical Prostatectomy or Watchful Waiting in Prostate Cancer -- 29-Year Follow-up
背景
Scandinavian Prostate Cancer Group Study Number 4(SPCG-4試験)は、1989年から開始された限局性前立腺がん男性(n=695)で待機療法(watchful waiting)と根治的前立腺摘除を比較するランダム化比較試験であり、根治的前立腺摘除の生存ベネフィットを報告している。スウェーデンUppsala University HospitalのBill-Axelsonらは、同試験のフォローアップ期間中央値23.6年(最大29.3年)時点における結果を報告した。
結論
参加者の80%が死亡していた。前立腺がんによる死亡は、根治的前立腺摘除群71名・待機療法群110名であった(相対リスク0.55、絶対リスク減少11.7%)。全原因死亡を回避するためのNNTは8.4であり、23年目時点で根治術により2.9年の余命延長が得られた。根治術群では、被膜外浸潤(相対リスク5.21)およびGleasonスコア7以上(10.63)が死亡リスクと関連した。
評価
同試験からNEJM誌に発表された5報目の報告である。限局性前立腺がんでの待機vs治療では、PIVOT試験(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1615869)とProtecT試験(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1606220)が長期生存に差がないことを示しているが、これらはPSA検査登場以降の試験であり、臨床的に検出されたSPCG-4試験の前立腺がんとはリスクが異なると考えられる。リスクが中等度以上で期待余命が十分に長い患者では根治術は有効なオプションでありうる。