出産後20年は乳がんリスクが上昇、その後は低下
Breast Cancer Risk After Recent Childbirth: A Pooled Analysis of 15 Prospective Studies

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Annals of Internal Medicine
年月
December 2018
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開始ページ
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背景

出産経験は乳がんリスクを低下させると考えられてきたが、特に短期では上昇する可能性がある。University of North CarolinaのNicholsらは、The Premenopausal Breast Cancer Collaborative Groupに参加した15の前向コホート研究の患者レベル統合解析を行い、出産からの年数と乳がんリスクとの関連を調査した。

結論

9600万人年のフォローアップ期間中に18,826件の乳がん診断があった。未産女性と比して、経産女性では出産5年後に乳がんリスクがピークを迎え(ハザード比1.80)、24年後にリスクがマイナスに転じ、34年後(0.77)まで低下した。ER陰性乳がんに限ればリスクがマイナスに転じることはなかった。乳がん家族歴・初産時年齢・多産は、リスク増をより顕著にした。母乳育児はリスクには関与しなかった。

評価

出産は乳がんに関与する因子として認識されてきたが、本研究はその関連が出産からの年数によって大きく変化することを示唆した。若年乳がんは比較的まれでありもっぱら家族歴が寄与するため、必要以上に重大視することはないが、検診開始年齢には最適化の余地がありそうである。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)