HPV陽性口腔がんでは放射線+シスプラチン併用が標準:De-ESCALaTE試験
Radiotherapy plus cisplatin or cetuximab in low-risk human papillomavirus-positive oropharyngeal cancer (De-ESCALaTE HPV): an open-label randomised controlled phase 3 trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet
年月
November 2018
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背景

頭頸部がんでは放射線療法とシスプラチン化学療法の併用が標準とされてきたが、予後が良く若年患者の多いHPV感染の関与した頭頸部がんではセツキシマブによる毒性の軽減が議論されている。イギリスUniversity of BirminghamのMehannaらは、HPV陽性の低リスク口腔咽頭がん患者を対象に、放射線療法(70 Gy/35 Fr)に追加してシスプラチンまたはセツキシマブを割り付ける第III相多国籍ランダム化比較試験De-ESCALaTEを実施した(n=334)。

結論

24ヶ月時点までのグレード3から5の重篤毒性イベントは、シスプラチン群で平均4.8件、セツキシマブ群でも4.8件と差はなかった。全グレードの毒性イベントについてもそれぞれ29.2件・30.1件と差はなかった。2年生存率はシスプラチン群97.5%・セツキシマブ群89.4%とシスプラチン群で有意に良好であり、2年再発率もシスプラチン群で優れた(6.0% vs. 16.1%)。

評価

セツキシマブは毒性を減らさず、死亡率は上昇した。同時に発表されたNRG Oncology RTOG 1016試験も同様の結果となっており(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)32779-X)、シスプラチン不耐の患者を除き今後も放射線+シスプラチンが標準とみなされるべきである。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)