PSA検査による前立腺がん検診を再考する:系統的レビュー・メタ解析
Prostate cancer screening with prostate-specific antigen (PSA) test: a systematic review and meta-analysis
背景
PSA検査を用いた前立腺がん検診の有効性についてはERSPC試験とPLCO試験の結果に不一致があったが、今年新たに過去最大のCAP試験が無効結果を示した。オーストラリアMonash UniversityのIlicらは、システマティックレビュー・メタアナリシスにより、PSA検診と通常ケアを比較したランダム化比較試験の結果を統合し、その有効性と安全性を評価した。
結論
5件のRCTが含まれた(n=721,718)。検診間隔/回数、PSA閾値などは試験により異なった。エビデンス全体を考慮すると、PSA検診は全原因死亡率に影響を与えない可能性が高く(発生率比0.99)、前立腺がん特異的死亡率にも効果が無い可能性がある(0.96)。バイアスリスクの最も少ないERSPC試験での感度分析では、全原因死亡への影響は同じではない可能性が高かったが、前立腺がん特異的死亡率はわずかに低下する可能性があった(0.79; 中程度の確実性)。検診の合併症として、1000名あたり約1名が敗血症、約3名は尿失禁のためにパッドの使用を必要とし、25名が勃起不全を報告すると推定された。
評価
バイアスリスクの少ないERSPC試験に限れば、検診1000人あたり10年間で1件の前立腺がん死亡を減らす可能性があったものの、全死亡率への効果はなく、検診による有害事象も少なくなかった。BMJ専門家パネルの結論はルーチンな検診に否定的である(https://doi.org/10.1136/bmj.k3581)。


