ACE阻害薬に肺がんリスク?:イギリス100万人のコホート研究
Angiotensin converting enzyme inhibitors and risk of lung cancer: population based cohort study
背景
高血圧治療薬として用いられるアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)だが、がんのリスクを増すのではないかとの懸念が存在する。カナダJewish General HospitalのHicksらは、新たに降圧剤による治療を受けた患者のコホート(n=992,061)で、ACEIの使用と肺がん発症との関連を検証した。
結論
フォローアップ期間平均6.4年で、7,952件の肺がん発症があった。アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)と比較して(1000人年あたり1.2件)、ACEI使用は肺がんリスクの上昇と関連した(1.6件、ハザード比1.14)。ACEI使用期間が5年ではハザード比1.22、10年では1.31と、使用期間が増加するごとに肺がんリスクも増加した。
評価
ランダム化試験のメタ解析ではがんリスクの上昇はみられなかったが(http://doi.org/10.1016/S1470-2045(10)70260-6)、過去最大となるこのコホート研究では、絶対リスクは小さいものの有意な肺がんリスク増加が示され、さらにそのリスクは使用期間の長さと関連した。さらなる調査を必要とする気がかりな結果である。


