急性骨髄性白血病の移植後再発にMHCクラスII遺伝子が関連か
Immune Escape of Relapsed AML Cells after Allogeneic Transplantation
背景
急性骨髄性白血病(AML)患者は同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)を受ける場合があるが、移植後再発もしばしばみられる。Washington University in St. LouisのChristopherらは、HSCT後に再発したAML患者15名と化学療法後に再発したAML患者20名から得たサンプルにおいて拡張エクソームシーケンシング、さらに追加サンプルでのRNAシーケンシングとフローサイトメトリーによる検証を行い、allo-HSCTがもたらす免疫選択圧が通常とは異なる腫瘍進化パターンをもたらすという仮説を検証した。
結論
エクソームシーケンシングでは、移植後再発での変異スペクトルは化学療法後再発のそれと同様であり、未知のAMML関連変異や免疫関連遺伝子の変化と関連しなかった。一方でRNAシーケンシングでは、MHCクラスIIのダウンレギュレーションなど適応免疫・自然免疫に関与する経路での調節異常がみられ、移植後再発患者34名でのフローサイトメトリーでは、17名でMHCクラスIIの発現低下が確認された。in vitroのAML芽細胞では、インターフェロンγ治療によりこの表現型を逆転可能なことも示唆された。
評価
AML細胞がどのように免疫監視機構を逃れ、移植後再発に至るのかという重要問題に有望な説明を与えた。IFN-γ治療の可能性も示唆されており、さらなる研究を加速する新知見である。