予防的卵巣摘出後のホルモン補充療法は乳がんリスクと関連するか?
Hormone Replacement Therapy After Oophorectomy and Breast Cancer Risk Among BRCA1 Mutation Carriers
背景
BRCA1遺伝子変異を有する女性では予防的卵巣摘出により卵巣がんを低下させることができるが、これら女性でのホルモン補充療法が乳がんリスクに与える影響が懸念されている。カナダWomen's College HospitalのKotsopoulosらは、BRCA変異キャリアの多国籍コホートから、BRCA1変異女性での予防的卵巣摘出後のホルモン補充療法と乳がんリスクを前向評価した(n=872)。
結論
卵巣摘出後フォローアップ期間の中央値7.6年で、10.6%が乳がんと診断された。卵巣摘出後のホルモン補充療法は、乳がんリスクと関連しなかった(ハザード比0.97)。一方で10年間の累積乳がん発症率は、エストロゲン単独療法を受けた女性で12%であったのに対し、エストロゲン+プロゲステロン療法女性では22%であった。
評価
ホルモン補充療法は全体としては乳がんリスクと関連せず、閉経前女性での予防的卵管卵巣摘出による副作用を最小化する重要なオプションとみなされるべきであろう。一方でエストロゲン・プロゲステロン併用についてはさらなる調査を要する。