移植後にも骨髄に残存する変異と骨髄異形成症候群の予後
Mutation Clearance after Transplantation for Myelodysplastic Syndrome
背景
同種造血幹細胞移植は骨髄異形成症候群(MDS)において唯一治癒が期待できる治療法であるが、少なくない患者で移植後の進行が見られる。Washington University School of Medicine in St. LouisのDuncavageらは、同種造血幹細胞移植を受けるMDS患者(n=90)において拡張エクソームシーケンシングで移植前の変異を検出、移植30日後の骨髄サンプルからの変異シーケンシングによる変異クリアランスを評価した。
結論
移植前のシーケンシングでは、患者の96%で体細胞変異が確認された。このうち37%では、移植後30日で最大アレル頻度0.5%以上の変異を1つ以上有した。最大アレル頻度0.5%以上の変異は、病勢進行のリスクであり(53.1% vs. 13.0%、前処置レジメン調整後ハザード比3.86)、1年無増悪生存率も低かった(31.3% vs. 59.3%、2.22)。
評価
変異の残存を確認することで、進行リスクの高い患者を早期に特定可能であった。これら患者での積極的なモニタリングをアウトカムの改善につなげる介入が、次の課題となる。