FDAに画期的新薬指定されたがん治療薬は本当に画期的だったか
Efficacy, Safety, and Regulatory Approval of Food and Drug Administration-Designated Breakthrough and Nonbreakthrough Cancer Medicines
背景
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、新薬の開発・審査を迅速化するため2012年に画期的新薬指定制度を導入した。Brigham and Women’s Hospital and Harvard Medical SchoolのHwangらは、2017年末までにFDAによる承認を受けたすべてのがん治療薬において、画期的新薬指定を受けたものとそれ以外の承認までの期間、安全性、有効性を比較した。
結論
期間中に58のがん新薬が承認され、25種(43%)は画期的新薬指定を受けていた。FDA承認までの期間は、画期的新薬で5.2年、それ以外では7.1年であった。無増悪生存期間の延長(8.6ヶ月 vs. 4.0ヶ月)およびハザード比(0.43 vs. 0.51)、固形腫瘍での奏効率(37% vs. 39%)に統計的な有意差はなかった。新規の作用機序を有するものの割合(36% vs. 39%)、死亡率(6% vs. 4%)、重篤有害事象(38% vs. 36%)にも差はなかった。
評価
画期的新薬指定制度のもとで多くの薬剤が狙い通りに迅速な承認を受けたが、指定薬剤は指定されなかった薬剤と比べて安全でも効果的でもなかった。新薬開発サイクルの加速を受けて、承認プロセスも迅速化が図られてきたが、こうした制度改革が患者に真の利益を提供し得たかは繰り返し検証される必要がある。

