アスピリンの心血管・がん予防効果は用量・体重依存的か
Effects of aspirin on risks of vascular events and cancer according to bodyweight and dose: analysis of individual patient data from randomised trials
背景
アスピリンは閉塞性心血管イベントを予防するだけでなく、大腸がんなどのリスクを低下させることも明らかになっている。イギリスUniversity of OxfordのRothwellらは、アスピリンによる心血管イベントの一次予防効果をみたランダム化試験で、用量(低用量・高用量)と慎重・体重との関連を検討し、脳卒中二次予防試験においてこれを検証、さらに試験中発がんとの関連も評価した。
結論
10件の一次予防試験が含まれた(117,279名)。一日75〜100mgのアスピリンは、体重50〜69kgの集団で心血管イベントを減少させたが、70kg以上では変化なかった。また致死的イベントは70kg以上の集団で増加した。対照的に一日325mg以上のアスピリンは、高体重の集団でのみ心血管イベントを予防した。二次予防試験でも同様の知見が得られ、さらに大腸がんの長期リスクも体重依存的であった。
評価
アスピリンの投与は多く固定用量で行われてきたが、既存ランダム化試験を対象に実施されたこの解析はアスピリンの予防効果が用量・体重に依存することを示唆し、予防戦略の精密化へ向け新たな課題を提起する。


