生殖補助医療は発癌リスクにどのような影響を与えるか:25万人の観察研究
Risks of ovarian, breast, and corpus uteri cancer in women treated with assisted reproductive technology in Great Britain, 1991-2010: data linkage study including 2.2 million person years of observation
背景
生殖補助医療ではいくつかの発癌リスク因子にさらされるが、実際のがん発症への影響については十分なエビデンスがない。イギリスUCLのWilliamsらは、1991-2010年にグレートブリテン島で生殖補助医療を受けた女性のコホート(n=255,786)で、卵巣がん・乳がん・子宮体がんのリスクを調査した。
結論
2,257,789人年の追跡期間で、乳がん全体(標準化罹患比0.98)・浸潤性乳がん(0.96)・子宮体がん(1.12)に有意なリスク上昇は見られなかった。非浸潤性乳がん(1.15)・卵巣がん(1.39)ではリスクの上昇が見られ、絶対余剰リスクは100,000人年あたりそれぞれ1.7件・5.0件であった。
評価
過去最大の観察研究から、非浸潤性乳がん・卵巣がんでわずかなリスク上昇が見られることを示した。ただし卵巣がんリスクの上昇は既知のリスク因子をもつ女性に限られており、生殖補助医療に起因しない可能性もある。


