口腔細菌叢は大腸がんと関連する
The oral microbiota in colorectal cancer is distinctive and predictive
背景
近年、腸内細菌叢がさまざまな疾患に与える影響が注目されており、大腸がんとの関連も示唆されている。アイルランドUniversity College CorkのFlemerらは、大腸がん患者(n=99)・大腸ポリープ患者(n=32)・健康対照者(n=103)で、口腔・大腸粘膜・便中の細菌叢プロファイリングを行った。
結論
大腸がん患者の口内では、StreptococcusやPrevotellasなどの細菌が豊富であった。口内細菌叢による分類モデルは、大腸がんを感度53%、大腸ポリープを67%で弁別し、特異度は96%であった。便中細菌叢のデータと組み合わせた場合、感度はそれぞれ76%・88%に向上した。口腔バイオフィルム形成細菌を含め、大腸と口内の細菌ネットワークは類似していた。Lachnospiraceaeの豊富さは、西洋食および口腔細菌叢の腸内定着と負の相関を有した。
評価
腸内フローラと大腸がんとの関連は数年来のホットトピックであるが、この研究では口腔および便中の細菌叢の分析が、大腸がんを高精度で同定可能なことを示した。高繊維食がLachnospiraceaeの豊富さをもたらし大腸保護的に働く可能性も示唆された。