9.11で活動した消防士で多発性骨髄腫が増加する?
Multiple Myeloma and Its Precursor Disease Among Firefighters Exposed to the World Trade Center Disaster
背景
2001年9月11日の世界貿易センターテロ現場では多数の消防士が長期間にわたって活動したが、最近、多発性骨髄腫(MM)やその他の悪性腫瘍が多く発症する可能性が示唆されている。ニューヨーク州Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのLandgrenらは、2001年9月11日から2002年7月25日までに世界貿易センターで活動した消防士におけるMMを記述するケースシリーズ研究、および前段階である意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)のスクリーニングを実施した。
結論
16名がMMの診断を受けており、診断年齢中央値は57歳であった。FDNY消防士781名でのスクリーニング研究では、MGUSおよび軽鎖MGUSの年齢調整有病率は100名あたり7.63件であり、対照集団の1.76倍であった。軽鎖MGUSの年齢調整有病率は、対照集団と比して3.13倍であった。
評価
PCBやダイオキシンへの類を見ない曝露がMMリスクの上昇を引き起こした可能性がある。2011年Lancet論文は現場消防士での全がん罹患率19%の増加を示したほか(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(11)60989-6)、本論文の併載短報は将来がん負荷の増大を予測している(http://doi.org/10.1001/jamaoncol.2018.0504)。