シスプラチン誘発難聴にチオ硫酸ナトリウムが有効:SIOPEL 6試験
Sodium Thiosulfate for Protection from Cisplatin-Induced Hearing Loss
背景
シスプラチンはいくつかの小児がんで標準治療の一部となっているが、多くの患者が聴器毒性に苦しむ。イギリスGreat Ormond Street HospitalのBrockらは、標準リスク肝芽腫小児において、術前・術後のシスプラチン療法またはそれへのチオ硫酸ナトリウム(STS)追加を比較するランダム化比較試験SIOPEL 6を実施した(n=109)。
結論
STSによる重篤な毒性は稀であった。グレード1以上の聴力障害はシスプラチン単独群63%・STS追加群33%であった(相対リスク0.52)。中央値52ヶ月の追跡期間で、3年無イベント生存率はシスプラチン単独群82%・STS追加群79%、3年全生存率は各98%・92%であった。
評価
ACCL0431試験に続いて(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(16)30625-8)、STSによりシスプラチン誘発難聴を半減させた。ACCL0431試験の事後解析では一部サブグループで生存率の悪化が見られたものの、本試験ではSTSがシスプラチンの抗腫瘍効果を阻害するという証拠は見られなかった。