男性乳がんの分子的特徴・死亡率は女性と異なる
Molecular Characterization and Mortality From Breast Cancer in Men
背景
男性の乳がんは全乳がん症例の1%ほどを占めるが、データは限られている。Stanford UniversityのMassarwehらは、ホルモン受容体陽性の乳がん患者で21遺伝子乳がん再発スコアによる評価を行い、その分子的特徴および死亡率との関連を調査した。
結論
男女(男性:n=3,806、女性:n=571,115)とも再発スコア18未満が大半であったが、再発スコア31以上は男性でより多く(12.4% vs. 7.4%)、再発スコア11未満も男性で多かった(33.8% vs. 22.1%)。男性では、エストロゲン受容体・細胞増殖・浸潤に関する遺伝子発現が多く見られた。5年乳がん特異的生存率(男性:n=322、女性:n=55,842)は、再発スコア18未満の男性99.0%・女性99.5%、18〜30の男性95.9%・女性98.6%であり、31以上の男女ではそれぞれ81.0%・94.9%であった。5年乳がん特異的生存率・全生存率は男性患者で低かった。
評価
男性乳がんは稀であり、その治療は女性乳がんでのデータと経験からの外挿に多く依存している。この研究は男性乳がんのリスク特徴が女性とは異なることを明らかにし、個別的な治療戦略への第一歩となる。


