肥満女性では子宮頸部前がん病変が発見されにくい?
Epidemiologic Evidence That Excess Body Weight Increases Risk of Cervical Cancer by Decreased Detection of Precancer
背景
肥満女性では子宮頸がんによる死亡リスクが上昇するとする報告があるが、相反する報告もある。National Cancer InstituteのClarkeらは、Kaiser Permanente Northern Californiaで細胞診またはHPV検査を受けた30〜64歳の女性における、BMIと子宮頸部がん・前がん病変リスクとの関連を後向調査した(n=944,227)。
結論
4,489件の前がん病変、490件のがんが発見された。前がん病変は5年累積リスクは肥満女性で最も低かった一方(0.51% vs. 0.73%)、子宮頸部がんの5年リスクは肥満女性で最も高かった(0.083% vs. 0.056%)。この結果は、年齢・HPVステータス・組織学的サブタイプを通じて一貫しており、この集団で子宮頸がんの20%ほどは過体重・肥満に起因する可能性がある。
評価
肥満女性でがんリスクが上昇する一方で前がん病変リスクは減少する、というパラドキシカルな結果は、この集団での子宮頸部検診が前がん病変の検出に有効でなかった可能性を示唆する。検診技術の改善へ向けた重要な知見である。

