早期乳がんでの術後アロマターゼ阻害薬延長は有益なのか:IDEAL試験
Optimal Duration of Extended Adjuvant Endocrine Therapy for Early Breast Cancer; Results of the IDEAL Trial (BOOG 2006-05)
背景
HR陽性・早期乳がん患者での術後アロマターゼ阻害薬(AI)治療は5年が標準であるが、MA.17R試験はさらに5年間延長することで無病生存率(DFS)が改善することを示した。オランダLeiden UniversityのBlokらは、HR+閉経後乳がん患者に、5年間の内分泌療法後にさらに2.5年または5年のレトロゾール療法を行う第III相ランダム化試験IDEALを実施した(n=1,824)。
結論
追跡期間中央値は6.6年であった。DFSイベントは5年群の152名、2.5年群の163名に生じた(ハザード比0.92, 有意差なし)。全生存期間(1.04)・無遠隔転移期間(1.06)にも群間差は見られなかった。5年群では、二次原発性乳がんの発生が減少した(0.39)。
評価
3年または6年の延長アナストロゾール療法を比較したDATA試験でも有意なDFS差は示されていない(https://doi.org/10.1016/S1470-2045(17)30600-9)。本論文と併載の7件のRCTのメタ解析では、AI療法延長により心血管疾患・骨折が微増することも明らかになっており(https://doi.org/10.1093/jnci/djx141)、より精密にターゲティングされる必要がある。