BRCA変異乳がんは散発性乳がんより予後が悪いわけではない
Germline BRCA mutation and outcome in young-onset breast cancer (POSH): a prospective cohort study
背景
BRCA1・BRCA2遺伝子に変異を有する女性では乳がん発症リスクが高くなることが知られるが、乳がん診断後の予後に与える影響については不明である。イギリスUniversity of SouthamptonのCopsonら(POSH)は、同国127施設で2000〜2008年に診断を受けた40歳以下の浸潤性乳がん患者において、BRCA1・BRCA2変異がアウトカムに与える影響を前向検証した(n=2,733)。
結論
12%で病原性の変異が検出された。追跡期間中央値8.2年で678名が死亡、うち96%が乳がんによる死亡であった。2年生存率はBRCA陽性群で97.0%、陰性群で96.6%、5年生存率は各83.8%・85.0%、10年生存率は73.4%・70.1%と、いずれも群間差はなかった。トリプルネガティブ患者においては、BRCA変異キャリアで短期生存率が良好であった(2年生存率のハザード比0.59)。
評価
既存研究のメタ解析は「BRCA乳がんで生存率が悪化するとするエビデンスはない」としており(https://doi.org/10.1371/journal.pone.0120189)、最大規模の前向比較でも両者の予後は異ならなかった。TNコホートで初期の両側乳房切除術が短期的な予後と関連しなかったことも治療選択における重要な考慮事項である。