がん患者のVTEへの経口エドキサバン、低分子量ヘパリンに非劣性:Hokusai VTE Cancer試験
Edoxaban for the Treatment of Cancer-Associated Venous Thromboembolism
背景
静脈血栓塞栓症(VTE)はがん患者で一般的に見られる合併症であり、低分子量ヘパリンによる治療が標準である。University of OklahomaのRaskobらは、急性症候性VTEまたは偶発的に発見されたVTEのがん患者に、初期の低分子量ヘパリンに続いて経口エドキサバンまたは皮下ダルテパリンを割り付ける非盲検・ランダム化非劣性試験Hokusai VTE Cancerを実施した(n=1,050)。
結論
一次アウトカムイベント(12ヶ月以内のVTE再発・大出血)は、エドキサバン群の12.8%、ダルテパリン群の13.5%で発生した(ハザード比0.97)。VTE再発はエドキサバン群7.9%・ダルテパリン群11.3%で、大出血は各6.9%・4.0%であった。
評価
エドキサバン群では消化器がん患者を中心に上部消化管出血が多かったものの(重度の大出血は同程度)、一次エンドポイント率は非劣性であった。経口でVTEリスクを抑えられることは大きな魅力で新たな標準治療となりうる。第Xa因子阻害薬とダルテパリンの直接比較としてはSelect-D試験も実施されている(ISRCTN86712308)。