慢性疾患のがんリスク:発症の1/5、死亡の1/3に寄与か
Cancer risk associated with chronic diseases and disease markers: prospective cohort study
背景
糖尿病や腎疾患などの慢性疾患はがんリスクを高めることが明らかにされている。University of Texas MD Anderson Cancer CenterのTuらは、台湾の健康診断プログラム参加者での前向研究から、主要な慢性疾患・疾患マーカーとがんリスクとの関連を評価し、運動がこの関連に与える影響を探索した(n=405,878)。
結論
8つの疾患・マーカーが、がん発症リスク増と関連し(調整ハザード比1.07-1.44)、がん死亡リスクとも関連した(1.12-1.70)。これら8つの疾患・マーカーからなる慢性疾患リスクスコアが最も高い人では、男性13.3年・女性15.9年の生存年数損失と関連した。8つの因子のがん発症・死亡に与える影響は、5つのライフスタイル因子と同等であった(発症:20.5% vs. 24.8%、死亡:38.9% vs. 39.7%)。また、運動を行っていた参加者では、がん発症・死亡リスクの増加がそれぞれ48%・27%抑えられた。
評価
慢性疾患のリスクを個別に評価するこれまでの研究に対し、慢性疾患を統合的に評価することで、ライフスタイル因子に匹敵するがん発症・死亡リスクであることを示した。運動がこのリスク増を大きく抑制できることも同時に示されており、予防戦略上の意義は大きい。