進行卵巣がんでの術前化学療法の効果をリアルワールドで確認
Effect of adoption of neoadjuvant chemotherapy for advanced ovarian cancer on all cause mortality: quasi-experimental study
背景
進行した卵巣がんでは初回手術後に化学療法を行うのが標準であるが、術前化学療法と中間期腫瘍減量手術(interval debulking surgery)も増加している。Massachusetts General HospitalのMelamedらは、2011年から2012年に進行上皮性卵巣がん患者での術前化学療法の採用が急激に増加した地域(27%増)と変化のなかった地域で、生存・合併症アウトカムを比較した(n=6,034)。
結論
術前化学療法が増加した地域では、2011年と比較した2012年の死亡ハザード比が0.81であった。一方、術前化学療法の採用に変化がなかった地域では1.02であった。増加地域では、90日手術死亡率(3%の低下 vs. 0.7%の低下)・手術/化学療法を受けない患者(2.6%の低下 vs. 0.5%の増加)が大きく低下した。横断的解析でも増加地域での死亡率の低下が確認された。
評価
術前化学療法+IDSは2件のRCTで非劣性を示しているものの(http://doi.org/10.1056/NEJMoa0908806、http://doi.org/10.1016/S0140-6736(14)62223-6)、死亡率の有意差は見られなかった。リアルワールドでの検討では、(術後合併症・死亡についての恩恵が大きいためか)死亡率の低下を示した。