進行卵巣がんでの腹腔内温熱化学療法(HIPEC)で生存期間延長
Hyperthermic Intraperitoneal Chemotherapy in Ovarian Cancer
背景
腹腔内温熱化学療法(HIPEC)は、42℃以上の生食によって腹腔を加温した上で抗がん剤を直接投与するもので、欧米では腫瘍減量手術との併用による有効性が報告されている。オランダNetherlands Cancer Instituteのvan Drielらは、3サイクルの化学療法後に進行の見られなかったステージIII上皮性卵巣がん患者において、腫瘍減量術へのHIPEC追加の有無を比較する多施設・第III相ランダム化試験を実施した(n=245)。
結論
再発・死亡イベントはHIPEC群の81%、対照群の89%で生じた(ハザード比0.66)。無再発生存期間はHIPEC群14.2ヶ月・対照群10.7であった。追跡期間中央値4.7年で、HIPEC群50%・対照群62%が死亡(0.67)、全生存期間は各45.7ヶ月・33.9ヶ月であった。グレード3・4有害事象は各群で類似していた。
評価
RFS・OSともHIPEC群で延長し、腹腔内化学療法の研究で見られた副作用・合併症についても同等に抑えられた。手術時間の延長やコストの問題を考慮しても、さらなる検証に期待が持たれる結果である。

