小児重度肥満へのGNAS変異・メラノコルチン経路の関与を確認
Obesity-Associated GNAS Mutations and the Melanocortin Pathway
背景
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)のシグナル伝達因子GαsをコードするGNASの変異が小児重度肥満に関連する、と示唆されている。英Wellcome-Medical Research Council Institute of Metabolic ScienceのFarooqiらは、重度肥満小児2,548名を対象にエクソームシーケンシング・標的化再シーケンシングを行い、同定された22名のGNAS変異キャリアを対象として、メラノコルチン4受容体(MC4R)シグナル伝達に対するGNAS変異の影響が肥満を説明するか、また患者の臨床スペクトル変化が分子アッセイ結果よって説明されるかを検討した。
結論
ほとんどすべてのGNAS変異がMC4Rシグナル障害に関連していた。12〜18歳の患者11名中6名には成長遅滞を認めた。これらの患者では、 GHRH受容体のシグナル伝達が障害されていたが、このシグナル伝達経路に影響を及ぼさない変異保有者では成長遅滞はなかった。サイロトロピン受容体シグナル伝達を阻害するGNAS変異は発達遅延と関連し、同患者のサイロトロピンレベルはGNAS変異を持たない重度肥満児340名より高かった。
評価
偽性副甲状腺機能低下症1a・1b患者の臨床像から形成されていた仮説を裏付ける結果で、著者らは高度肥満児のGNAS変異スクリーニングを推奨している。著者らは更にMSHによる治療が有効ではないかとも示唆しているが、NEJM Editorialは疑問を呈し、むしろcAMP不活化阻害薬の方が有効ではないか、としている。


