COVID-19「喫煙のパラドックス」を最終的に否定
Smoking and COVID-19 outcomes: an observational and Mendelian randomisation study using the UK Biobank cohort
背景
COVID-19の発生初期には、喫煙が重症化リスク低減因子とされたことがあった(喫煙のパラドックス)。英University of OxfordのCliftらは、プライマリケア記録とUK Biobankデータに基づき、喫煙者のCOVID-19関連の入院・死亡に関する観察分析(n = 421,469)とメンデルランダム化(MR)分析を行った(n=281,105)。
結論
非喫煙者と比して、喫煙者は入院(OR 1.80)・死亡(喫煙1〜9本 /日:OR 2.14、10〜19 /日:OR 5.91、>20 /日:OR 6.11)リスクが高かった。MR分析(白人参加者)では、遺伝子ベースで予測された喫煙傾向は、感染(OR 1.45)・入院(OR 1.60)のリスク増と関連した。さらに、遺伝子ベースで予測された1日あたりの喫煙本数が多いほど、感染・入院・死亡リスクが増加した(OR各 2.51・5.08・10.02)。
評価
たとえば、2020/4にフランスから発表された「COVID-19 患者には喫煙者が少ない」という論文は、343名の患者データに基づくものであった(https://www.qeios.com/read/WPP19W.3)。UKBiobankを含む圧倒的なデータで、常識的な結論を示した。