肥満女性は人工甘味料で食欲が亢進する?
Obesity and Sex-Related Associations With Differential Effects of Sucralose vs Sucrose on Appetite and Reward Processing
A Randomized Crossover Trial
背景
人工甘味料(NNSs)摂取後の食刺激への神経代謝反応はショ糖摂取後と異なるか、また肥満や性別との関連は。University of Southern CaliforniaのPageらは健康成人男女74名を対象としてこれを検証するランダム化クロスオーバー試験を行った。参加者には介入各3日、12時間絶食後にスクロースもしくはスクラロース(NNS)を含んだ飲料、または水(対照)が与えられ、ベースラインと飲料後血液検査を行い、視覚的高カロリー食刺激に対しする脳応答をfMRI測定した。その後バイキング形式で食事を与え、参加者の食欲を観察した。一次アウトカムは、性別・BMIの、スクロースに比してのスクラロース摂取後の内分泌・食欲反応、および視覚的高カロリー食刺激後の脳各部応答への効果である。
結論
肥満者は過体重・正常体重者に比し、またスクラロースはスクロースに比し、また女性参加者は男性参加者に比し、眼窩前頭皮質・内側前頭前皮質応答が大きかった。バイキング食での摂取カロリーも男性より女性の方が高かった。
評価
人工甘味料が脳活動や食行動に与える影響を検討する研究としては過去最大で、結果はメディアに広く採り上げられている。他方、人口甘味料は食欲を抑制する(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30997499/)、また長期の体重低下と関連するというレビュー(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33168917/)もあり、問題は論争的である。The International Sweeteners Association(ISA)はこの研究結果に対するステートメントを発表して、データが結論を支持しない、と主張している(Sucralose does not increase appetite! https://www.sweeteners.org/sucralose-does-not-increase-appetite/)。


