大規模スクリーニング時代のT2D患者の心血管疾患リスク予測
Cardiovascular risk prediction in type 2 diabetes before and after widespread screening: a derivation and validation study
背景
過去には2型糖尿病(T2D)患者は症状発症により同定されていたが、現在ではスクリーニングにより発見される場合が多い。過去のT2D患者のデータに基づく心血管リスク評価法は現在でも有効か。ニュージーランドUniversity of AucklandのJacksonら(PREDICT-1)は、PREDICT primary care cohort study登録同患者(心血管疾患・心不全・腎機能障害の診断なし)46,652名を対象として、この問題を検討するコホート研究を行った。DM合併症・腎機能等18予測因子に基づく心血管疾患の性別5年リスク予測式を開発してリスクを推定し、大規模スクリーニング採用以前の2000〜2006年のNew Zealand Diabetes Cohort Study(NZDCS)予測式での推定結果と比較した。
結論
PREDICT-1集団に対する新規開発リスク予測式では5年での心血管疾患リスク中央値は女性4.0%・男性7.1%と予測されたのに対し、NZDCSリスク予測式による中央値は女性で14.2%・男性17.1% だった。
評価
同国では2016年以降は90%の成人がDMスクリーニングを受けるようになった。発症者ベースで開発された過去のリスク予測式が検診者ベースのリスク予測式と比べ「過大評価」を帰結すると結論した興味深い研究で、リスク予測式開発にも臨床実践にも基本的なインパクトをもつ。