低栄養児に対するマイクロバイオータ標的化介入のパイロット試験が成功
A Microbiota-Directed Food Intervention for Undernourished Children
背景
小児の健康への腸マイクロバイオータの重要性が理解されるようになってきている。Washington UniversityのGordonら は、バングラディシュスラムに居住する中等度急性栄養不良の12〜18ヵ月齢児123名を対象として、マイクロバイオータ標的化補完食プロトタイプ(MDCF-2)と既存栄養補助食(RUSF)の効果を比較する前向検証を行った。
結論
身長対体重、年齢対体重のzスコアの変化率は、3ヵ月の研究期間中および1ヵ月の追跡期間中、MDCF-2が優れていた(前者で0.021 vs. 0.010)。MDCF-2の摂取は、70種のタンパク質の血漿濃度および有益細菌群21種の量の変化度と関連しており、これら指標は 身長対体重zスコアと正の相関を示した。増加したタンパク質には、骨成長や神経発達の促進因子が含まれていた。
評価
この分野のトップグループが動物実験から積み上げたアプローチを、ゲイツ財団の後援で途上国で試みた瞠目の結果である。ヒヨコ豆・バナナ・大豆・ピーナッツに小麦粉・オイルというシンプルなレセピーで、しかも低カロリーである。本格的大規模第3相試験を正当化するばかりでなく、先進国の子供の栄養改善への応用も考えられる。