T1D患者の腎機能低下リスクは減ってきているが
Predicting renal disease progression in a large contemporary cohort with type 1 diabetes mellitus
背景
近年1型糖尿病(T1D)患者の腎予後が改善している、という示唆がある。イギリスThe University of EdinburghのColhounらは、SDRNT1BIO登録T1D患者においてこの仮説を検証した。50歳以下でT1Dと診断された16歳以上の患者5,777名とスコットランド SDRNT1BIOデータに基づき、血清クレアチニンと尿中ACRをNHS電子カルテデータとリンクさせた。
結論
11.6年以上の追跡で、年間eGFR低下の中央値は−1.3 ml min^-1 [1.73 m]^-2 year^-1 であった。14%で3 ml min^-1 [1.73 m]^-2以上の低下を認め、このレベルでの低下は心血管疾患(OR:1.9)・網膜症(OR:1.3)オッズ増と関連した。年齢・性別・罹病期間・eGFR・ACRのモデルに、HbA1c・心血管疾患既往・直近平均eGFR・eGFR推移を加えることで、最終eGFRを予測し得た。
評価
著者らの結論は、「T1D患者の腎予後は確かに改善している。しかし個人差は大きく、単純にCKDリスクを予測するモデルは今のところ存在しない」ということである。


