肥満・糖尿病患者へのAkkermansia muciniphila菌投与、臨床レベルに到達
Supplementation with Akkermansia muciniphila in overweight and obese human volunteers: a proof-of-concept exploratory study
背景
アッカーマンシア・ムシニフィラ(A. muciniphila)菌が糖尿病・肥満に有効である、という動物レベルデータがある。ベルギーUniversite catholique de LouvainのD. Caniらは、過体重もしくは肥満でインスリン抵抗性のある32名を対象としてこれを検討するパイロットプラセボコントロールDBRCTを行なった。参加者には3ヶ月間毎日、生もしくは低温殺菌を行なったA. muciniphilaまたはプラセボを経口投与した。一次エンドポイントは、安全性・忍容性・代謝指標である。
結論
低温殺菌A. muciniphilaの一次エンドポイント妥当性を認めた。インスリン抵抗性は改善、血中インスリンレベル・総コレステロール値も低下した。体重・体脂肪量・ヒップ周も低下した。投与3ヶ月で腸内マイクロバイオーム構成に著変はなかったが、肝機能障害・炎症指標は低下した。
評価
同ベルギーグループが10年以上追究しているテーマで、初めて臨床試験レベルに到達した。大規模試験・製品化が視野に入るとともに、作用機序の掘り下げが急務になった。生菌が有効でなかったとみられることが注目される。