抗CD3抗体薬teplizumabによるT1D発症遅延戦略は有望
An Anti-CD3 Antibody, Teplizumab, in Relatives at Risk for Type 1 Diabetes
背景
1型糖尿病(T1D)に対する抗CD3モノクローナル抗体薬の効果が示唆されてきた。Yale UniversityのHeroldら(Type 1 Diabetes TrialNet Study)は、T1D高リスク参加者76名を対象として、teplizumab14日間静脈内投与のT1D発症予防効果を検証する第II相RCTをおこなった(対照:プラセボ)。T1D発生・進行の追跡調査を、6ヶ月間隔でOGTTにより行った。
結論
T1Dと診断されるまでの期間の中央値は、teplizumab群48.4ヶ月、プラセボ群で24.4ヶ月であった。Teplizumab群の43%、プラセボ群の72%が期間中にT1Dを発症した。TIGIT+KLRG1+CD8+ T細胞は、プラセボ群よりteplizumab群で多かった。HLA-DR3陰性・HLA-DR4陽性・抗亜鉛トランスポーター8抗体陰性の参加者では、teplizumab群の方がDM診断が少なかった。有害事象は皮疹と一過性リンパ球減少だった。
評価
長く追求されてきたアプローチで、2011年には一旦「撤退」となっていた(https://science.sciencemag.org/content/333/6044/819)。「高リスク者のT1D発生を予防する」という難しい戦略であり、画期的な結果であるものの、以降の検証・承認・臨床実装には困難も予想される。