ノルウェーでもアメリカと同じように「金持ちほど長生きする」
Association of Household Income With Life Expectancy and Cause-Specific Mortality in Norway, 2005-2015
背景
アメリカ人の平均寿命は先進国で最短だが、最近さらに短縮してきている。社会医療が高度に発達しているノルウェーではどうか。ノルウェーNorwegian Institute of Public HealthのKingeらは、2005〜2015年の同国民(40歳以上)3,041,828名を対象として、40歳時点での平均余命・死因(一次アウトカム)と家計収入の関連を調査し、アメリカでのそれと比較した。
結論
平均余命最長は、収入上位1%層の女性(86.4歳)で、下位1%層の女性より8.4年長かった。平均余命最低は収入下位1%層の男性(70.6歳)で、上位1%層の男性より13.8年短かった。2005〜2015年で、このような収入による余命格差は拡大しており、高齢者では心血管疾患・悪性腫瘍・COPD・認知症‐薬物使用(高齢者)による死亡が、若年者では自殺増がこれに主に寄与していた。この期間に、収入最高四分位層女性の平均余命が3.2年伸びたのに対し、最低四分位層女性では0.4年短縮した。最高四分位層の男性では伸びは3.1年、最低四分位層男性では短縮が0.9年であった。このような全体的格差はアメリカと同様だが、ノルウェーでの下・中層者は男女とも平均余命がアメリカより長かった。
評価
著者らは、ノルウェーでアメリカと同じような収入による寿命格差が明確で、しかも広がっていることは予測外だった、としている。