「抗炎症」IL-10は「肥満」因子?
IL-10 Signaling Remodels Adipose Chromatin Architecture to Limit Thermogenesis and Energy Expenditure

カテゴリー
生活習慣病
ジャーナル名
Cell
年月
January 2018
172
開始ページ
218

背景

肥満が免疫‐炎症性疾患であるという見方は、脂肪細胞へのサイトカインの作用の研究を加速している。University of CaliforniaのRajbhandariらは、細胞・マウスレベル実験により抗炎症性サイトカインIL-10の白色・褐色脂肪細胞への作用を解析した。

結論

IL-10ノックアウトマウスは肥満にならず、インシュリン抵抗性がなく、その白色脂肪細胞は褐色化した。IL-10はIL受容体αへの結合を介してクロマチン構造を変化させ、ATF・C/EBPβの鍵エンハンサー域への結合を阻害することで熱産生遺伝子の転写を抑制する。

評価

常識的想定とは逆に、IL-10は白色脂肪細胞の熱生成に対してブレーキになっている、という意外な結果である。著者らは、IL-10の「抗炎症」作用には感染時などでのエネルギー保全の意味があるのではないか、と推測している。サイトカインへの薬理的介入による肥満制御に関連しうる。

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取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)