小児肥満は成人肥満への道
Simulation of Growth Trajectories of Childhood Obesity into Adulthood
背景
肥満は現代世界最大の「パンデミック」疾患である。小児の発育と肥満化の時間経過を検討するため、Harvard T.H. Chan School of Public HealthのWardらは、米国を代表する5つの長期研究の身長・体重データ(n=41,567)を統合した生涯の発育曲線モデルを構築し、2016年時点で19歳以下小児100万名からなる多様な仮想集団1,000の、35歳までの身長・体重変化をシミュレーションした。
結論
今日の小児の57.3%は、35歳時点で肥満となる。成人期における肥満化の相対リスクは小児の年齢・BMI とともに上がり、過体重の2歳児で1.17、重度肥満の19歳者では3.10である。重度肥満の小児が成人後に肥満でなくなる確率は、2歳児で21.0%、19歳者では6.1%である。
評価
Harvard T.H. Chanによる高信頼度でインパクトの大きいシミュレーション結果である。メディアは「アメリカの子供の半分以上は35歳までに肥満になる。そして、そうならない唯一の方法は現時点で肥満しないことだ(http://www.latimes.com/science/sciencenow/la-sci-sn-childhood-obesity-future-20171130-story.html)」と伝えている。