パリカルシトールでT2D患者の腎機能劣化を抑制する
Moderate salt restriction with or without paricalcitol in type 2 diabetes and losartan-resistant macroalbuminuria (PROCEED): a randomised, double-blind, placebo-controlled, crossover trial
背景
2型糖尿病(T2D)患者におけるアルブミン尿症に対する様々な治療法が探求されている。イタリアScience and Technology Park Kilometro RossoのParvanovaら(PROCEED)は、選択的ビタミンD受容体活性化薬パリカルシトールの抗アルブミン尿症効果を検証するクロスオーバーDBRCTを行った。ロサンタン使用中のT2D患者(微少アルブミン尿症で腎機能が安定しており、パラトルモン値20 pg/mL〜110 pg/mL・血清カルシウム値9.5 mmg/dL・血清リン値5 mg/dL以下)を、3ヶ月間高塩分食群と低塩分食群とに割り付け、その後経口パラカルシトールとプラセボの効果を比較した(n=115)。一次アウトカムは、24時間アルブミン尿である。
結論
パリカルシトールにより、減塩食群で尿アルブミン値が724 mg/dayから481 mg/dayへ低下した一方、高塩分食群では有効性を認めなかった。有害事象は介入群が45%、プラセボ群が31%であり、介入群では高カルシウム尿症等治療関連が多かった。また、介入群で脳卒中・冠イベントがあったが、試験中の死亡者はなかった。
評価
CKDに対するビタミンDシステムへの効果が認められてきており、この効果をT2D患者で検証する試験である。先行結果で食事中塩分条件・RAAS阻害薬使用条件が十分にコントロールされていなかったためデザインされた確定試験の結果である。塩分制限はRASS阻害薬の効果を増強することが知られており、この条件下ならば、一定のリスクで慢性腎不全の進行をパリカルシトールにより抑えることができる、という結果である。