重症患者での血糖コントロールは180 mg/dL以下でよい:CONTROLING試験
Individualised versus conventional glucose control in critically-ill patients: the CONTROLING study-a randomized clinical trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Intensive Care Medicine
年月
November 2021
47
開始ページ
1271

背景

過去20年間で、重症患者の血糖コントロールに関する多くの臨床試験が行われ、NICE-SUGAR試験以降は180 mg/dL以下でのコントロールが一般化している。フランスHospices Civils de LyonのBoheらは、ICU入室した重症成人患者を、入室時のHbA1cレベルを用い入室前の通常血糖値を目標とする個別化コントロールまたは180 mg/dL以下で維持する従来コントロールへと割り付ける多施設・ランダム化・二重盲検・並行群間試験CONTROLINGを実施した。

結論

2,075名がランダム化された時点で、個別コントロールの無益性・有害性が示唆されたため試験は早期中止された。血糖値のコントロールには群間差があったものの、90日生存率は個別コントロール群67.2%、従来コントロール群69.6%と差はなかった。重度の低血糖症は個別コントロール群の3.9%、従来コントロール群の2.5%で発症した。Post hoc解析では、非糖尿病患者(ハザード比1.3)および外科患者(1.83)の90日死亡率が個別コントロール群で高いことが示された。

評価

HbA1c値から推定された通常血糖値を目標とする個別的管理は生存率を改善せず、一部患者では死亡リスクを高めた。これまで通り、180 mg/dL以下でのコントロールが推奨される。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)