南アからCOVID-19オミクロン株の特性を報告
Characteristics and Outcomes of Hospitalized Patients in South Africa During the COVID-19 Omicron Wave Compared With Previous Waves
背景
COVID-19パンデミックの主流は2021年11月から急速にオミクロン株に置き換わりつつあるが、その臨床的特徴は。オミクロン株によるパンデミックが最初に報告された南アフリカで49の急性期病院(10,000床超)を有する民間医療グループであるNetcare Ltd South AfricaのMasloらは、2020年6〜7月の第一波、12月の第二波(ベータ株)、2021年6月の第三波(デルタ株)、2021年11-12月の第四波(オミクロン株)において市中陽性率が26%に達した期間を特定し、その特徴を比較した。
結論
各波の早期に病院で治療を受けた患者数は、最も多かった第三波で6,342名、第四波では2,351名であった。ただ、COVID-19陽性の救急受診患者の割合は、第一波〜第三波では68%〜69%であったのに対し、第四波では41.3%であった。第四波の入院患者は若く(中央値36歳 vs 第三波59歳)、女性が多かった。併存疾患のある患者は有意に少なく、急性呼吸器疾患の割合も低かった(31.6% vs 第三波91.2%)。ワクチン接種患者は24.2%、未接種患者は66.4%であった。酸素療法を要する患者、人工呼吸器を要する患者、集中治療入室の割合も第三波から有意に低下した。死亡率は第一波で19.7%、第三波では29.1%であったのに対し、第四波では2.7%であった。
評価
以前の変異株との比較のもと、オミクロン株の基本的性格を南アから報告した。すでに示唆されていたようにオミクロン株の患者は重症化リスクが低く、死亡率も低かった。長期的な後遺症リスクなどは未詳であり、感染爆発による医療逼迫の可能性は依然残るものの、ひとまずは前向きなデータである。


