救急での転倒予防介入エビデンスの現状は:GEAR-Fallsスコーピングレビュー
Moving the needle on fall prevention: A Geriatric Emergency Care Applied Research (GEAR) Network scoping review and consensus statement
背景
最近のエビデンスは、救急を受診した高齢患者において転倒のスクリーニング・予防介入が実現可能であることを示している。Mount Sinai School of MedicineのHammoudaらによるGeriatric Emergency Care Applied Research-Falls(GEAR-Falls)は、救急の転倒スクリーニング・介入に関する既存の研究ギャップを明確化し、今後の研究における優先事項を探るスコーピングレビューを実施した。
結論
レビューの対象となったクリニカルクエスチョンは、1) 転倒予防介入、2) リスク層別化と転倒ケア計画であった。1について、32件の研究のうち21件(66%)は転倒リスクスクリーニングであり、うち15件(71%)は運動プログラム・理学療法と組み合わされていた。2について、11種類の転倒スクリーニングツールが特定されたが、救急患者で実施可能かつ十分な精度を持つものはなかった。1・2のいずれについても最も多く採用された研究アウトカムは転倒の再発であり、半数は自己申告による評価であった。
評価
このテーマにおけるこれまでの研究を概観し、優先すべき五つの課題を提示した。多因子介入は有効であるとみられるが、どのようなタイミングでどのようなバンドルが適切なのか、答えられるべき問題は多く残されている。