病院到着前に胸痛患者をリスク層別化する
Prehospital risk stratification in patients with chest pain
背景
HEARTスコアは胸痛患者のリスク層別化のために開発された意思決定ツールであるが、病院到着前の患者に適用可能か。オランダUniversity Medical Center GroningenのSagelらは、対象に救急隊員によって胸痛患者(n=1,208)のHEARTスコアをトロポニンのポイント・オブ・ケア測定も含め決定し、主要有害心血管イベント(MACE)率の予測的価値を評価した。また、病院前設定に合わせて調整されたpreHEARTスコアを制作し、別の前向コホート(n=435)において検証した。
結論
第一の前向コホートでは10.2%がMACEを発症した。HEARTスコアの陰性適中率は98.4%、陽性適中率は35.5%、受信者動作特性曲線下面積(AUC)は0.81であった。カットオフ値調整後のpreHEARTスコアは、陰性適中率99.3%、陽性適中率49.4%、AUC 0.85であり、HEARTスコアやTn測定値を単独で上回った。
評価
HEARTスコアの病院前使用についてのエビデンスはなかったが、この研究はPOCTn測定を用いたHEARTスコアが病院前使用に耐えること、さらにカットオフ値を調整することで最適化しうることを示した。