COVID-19はSTEMI患者の死亡率を悪化させる
Association Between COVID-19 Diagnosis and In-Hospital Mortality in Patients Hospitalized With ST-Segment Elevation Myocardial Infarction
背景
COVID-19パンデミック下では、いくつかの疾患のアウトカム悪化が報告されているが、心筋梗塞患者では。Brown UniversityのSaadらは、アメリカ509施設のST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の後向コホートにおいて、同一来院時のCOVID-19の有無とSTEMI治療・アウトカムとの関連を検討した(n=80,449)。
結論
院外発症STEMI患者では、COVID-19感染の有無により初回PCI実施率に差がなかった一方、COVID-19併存の院内STEMI患者では、診断的・治療的な侵襲的冠動脈処置の実施率が低かった。COVID-19を有する院外STEMI患者の院内死亡率は15.2%、COVID-19を有さない患者では11.2%であった。院内STEMI患者の院内死亡率はそれぞれ78.5%、46.1%であった。
評価
COVID-19を伴うSTEMI患者で院内死亡率が上昇し、特に院内STEMI患者では各種介入の実施率・死亡率ともに悪化する事実を、大規模なデータによって示した。ケア・管理の混乱によるものか、ウイルス感染自体の悪影響があるのか、はさらなる検証を要する。