院外心停止後の神経学的予後を予測する血液マーカーは?
Serum markers of brain injury can predict good neurological outcome after out-of-hospital cardiac arrest
背景
心停止後患者の神経学的アウトカムの予測は重要な問題だが、脳損傷マーカーは役割を持つことができるか。スウェーデンLund UniversityのMoseby-Knappeらは、院外心停止後患者で低体温療法・正常体温療法をランダム化比較したTarget Temperature Management試験において心停止後24時間・48時間・72時間後に前向採集された血清サンプルの後向解析を行い、神経特異エノラーゼ(NSE)、S100Bに加えて、新規マーカーであるニューロフィラメント軽鎖(NFL)、総タウ、ubiquitin carboxy-terminal hydrolase L1(UCHL1)、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)の予後予測能を評価した(n=717)。
結論
感度が高かったのはNFL、タウ、GFAPであり、アウトカム不良患者の97.2〜98%が異常値を示した。陰性適中率も高かった(87〜95%)。S100BとNSEの正常値は、良好なアウトカムを予測した(陰性適中率76〜82.2%)。NSEの正常値は、ガイドラインで判定不能に分類された患者の35.3%において、良好なアウトカムを正しく予測した。
評価
TTM試験での解析により、複数のマーカーが心停止後の神経学的予後を予測しうることを明らかにした。現在臨床的に利用可能なものは限られるが、臨床的に利用可能になれば早期の予後予測精度は大きく向上し得る。