急性脳梗塞の血栓回収におけるステントと吸引の併用は無益:ASTER2試験
Effect of Thrombectomy With Combined Contact Aspiration and Stent Retriever vs Stent Retriever Alone on Revascularization in Patients With Acute Ischemic Stroke and Large Vessel Occlusion: The ASTER2 Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
September 2021
326
開始ページ
1158

背景

前方循環系脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞では、ステントレトリーバーまたは吸引カテーテルによる血栓回収療法が標準治療とされており、近年ではこの2つを併用した治療も報告されている。フランスUniversity of Versailles and Saint Quentin en YvelinesのLapergueらは、同国11施設の脳卒中センターにおける症状発現後8時間以内の前方循環系脳主幹動脈閉塞患者を対象として、ステントレトリーバー・吸引カテーテル併用とステントレトリーバーのみを比較するランダム化比較試験を実施した(n=408)。

結論

治療終了時のexpanded Thrombolysis In Cerebral Infarction(eTICI)スコアが2c/3である患者の割合は、併用群64.5%、ステント群57.9%で(オッズ比1.33)、有意な差はなかった。事前に指定された14の二次有効性エンドポイントのうち、12には有意な差がなかったものの、再開通率は併用群で高く(86.2% vs. 72.3%; 調整オッズ比2.54)、初回割り付け治療後のほぼ完全・完全な再開通率も併用群で高かった(59.6% vs. 49.5%; 1.52)。

評価

一次アウトカムの再開通率は、ステントと吸引の併用により改善する傾向があったものの、有意な差を示すには至らなかった。試験の検出力不足を示唆する結果で、さらなる検証は必須だろう。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)