脳卒中対応救急車(Mobile Stroke Unit)は脳梗塞患者の予後を改善する:BEST-MSU試験
Prospective, Multicenter, Controlled Trial of Mobile Stroke Units
背景
急性期脳梗塞ではt-PA療法の迅速な開始が重要であり、脳卒中に対応するスタッフとCTスキャナーを備えた救急車(Mobile Stroke Unit)はt-PAまでの時間を短縮するとされているが、アウトカムへの影響は? Memorial Hermann Hospital-Texas Medical CenterのGrottaらによる観察的・前向・週交代試験BEST-MSUは、急性症状発現から4.5時間以内の患者で、週ごとにMSUまたは救急隊(EMS)による搬送・管理を行い、修正Rankinスケールのスコアを比較した(n=1,515)。
結論
1,047名がt-PA療法に適格であった。発症からt-PA開始までの時間は、MSU群で中央値72分,EMS群では108分であった。t-PA適格患者のうち、MSU群では97.1%、EMS群では79.5%がt-PA療法を受けた。t-PA適格患者における90日時点でのutility-weighted mRSの平均スコアは、MSU群で0.72、EMS群で0.66であった(スコア0.91以上の調整オッズ比 2.43)。mRSが0または1であった患者はそれぞれ55.0%、44.4%であった。登録全患者における退院時の平均utility-weighted mRSは、MSU群で0.57、EMS群で0.51であった。二次臨床アウトカムはおおむねMSUで優り、90日死亡率はMSU群8.9%、EMS群11.9%であった。
評価
MSUはより早期のt-PA投与と、多くの患者でのt-PA療法実施を可能にし、長期的な患者アウトカムも改善した。MSUの広範な採用を後押しするエビデンスとなる。