WHOはCOVID-19入院患者にトシリズマブを推奨へ:WHOワーキンググループのメタ解析
Association Between Administration of IL-6 Antagonists and Mortality Among Patients Hospitalized for COVID-19: A Meta-analysis
背景
COVID-19ではIL-6を標的とした薬剤の有効性をめぐって多くの臨床試験が行われている。WHO Rapid Evidence Appraisal for COVID-19 Therapies(REACT) Working Groupは、COVID-19入院患者を対象にIL-6阻害薬と通常治療・プラセボを比較したランダム化比較試験を特定し、メタアナリシスを行った。
結論
27件の試験、10,930名の患者が含まれた。IL-6阻害薬に割り付けられた6,449名のうち1,407名(22%)、通常治療・プラセボに割り付けられた4,481名のうち1,158名(25%)が死亡した(要約オッズ比0.86)。トシリズマブのオッズ比は0.83、サリルマブでは1.08であった。ステロイド投与を受けている患者ではそれぞれ0.77、0.92であった。侵襲的人工呼吸への移行または死亡のオッズ比は、トシリズマブで0.74、サリルマブでは1.00であった。28日目までの二次感染発生率はIL-&阻害薬群で21.9%、対照群で17.6%であった。
評価
トシリズマブの有効性に関してはエビデンスが一貫してこなかったが、WHOワーキンググループによるこのメタ解析は、トシリズマブによりCOVID-19入院患者の死亡リスクが低下すること、ステロイドとの相互作用が見られることを明らかにした。これによりIL-6阻害薬はWHOガイドラインに加えられることとなった(https://www.who.int/publications/i/item/WHO-2019-nCoV-therapeutics-2021.2)。