緊張性気胸での胸腔穿刺、刺入部位はどこが良いか
Optimal anatomical location for needle decompression for tension pneumothorax: A multicenter prospective cohort study
背景
胸腔穿刺は緊張性気胸に対する効果的な治療だが、最適な刺入箇所については議論があり、第2肋間鎖骨中線(ICS2-MCL)のほかに、近年では第4・第5肋間前腋窩線(ICS4/5-AAL)での穿刺が検討されている。オランダUniversity Medical Center GroningenのAziziらは、XXXコンソーシアムの救急外来成人患者を対象とした多施設共同前向研究において、正常体重・過体重・肥満患者の胸壁の厚さをポイント・オブ・ケア超音波により両側で測定し、標準的なカテーテルでの脱気失敗率を推定した(n=392)。
結論
胸壁厚の中央値は、ISC2-MCLで26[IQR 21-32] mm、ICS4/5-AALで26[21-33] mmであった。ただしISC2-MCLでの胸壁厚は、過体重(BMI 25-30)および肥満(BMI>30)患者では、ICS4/5-AALより有意に薄かった。45mm Venflonカテーテルおよび50mm Angiocatheterカテーテルでの仮想失敗率は、ICS2-MCLで2.5%、0.8%であったのに対し、ISC4/5-AALでは6.2%、2.5%であった。
評価
ICS2-MCLでの胸腔穿刺は失敗率が高い事が報告されていたが、この研究では、特に過体重・肥満患者でICS2-MCLの方が胸壁が薄く、脱気に失敗しにくい可能性を示唆した。