重症患者での輸液ボーラス速度、遅くしても死亡は減らず:BaSICS試験
Effect of Slower vs Faster Intravenous Fluid Bolus Rates on Mortality in Critically Ill Patients The BaSICS Randomized Clinical Trial
背景
静脈内輸液の速度を遅くすると、浮腫や臓器障害を減らす事が出来るが、死亡率への影響については十分なデータがない。ブラジルHCor Research InstituteのZampieriらは、同国75箇所のICUに入室した重症患者(n=11,052)を、生理食塩液またはbalanced solutionを用いた輸液、および333 mL/hまたは999 mL/hの点滴速度に割り付ける、2x2 Factorialデザインによるランダム化比較試験BaSICSを実施し、点滴速度の結果について報告した。
結論
初日の輸液量は緩徐群で平均1162 mL、対照群では1252 mLであった。90日死亡率は緩徐群で26.6%、対照群で27.0%であった(調整ハザード比1.03)。2つの介入に有意な相互作用は認められなかった。
評価
輸液製剤についての結果とともにJAMA誌に発表された(https://doi.org/10.1001/jama.2021.11684)。輸液の投与速度については十分なエビデンスがないが、この試験の結果からは333 mL/hと999 mL/h、どちらも同様に安全と考えられる。