重症患者での輸液ボーラス速度、遅くしても死亡は減らず:BaSICS試験
Effect of Slower vs Faster Intravenous Fluid Bolus Rates on Mortality in Critically Ill Patients The BaSICS Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
August 2021
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開始ページ
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背景

静脈内輸液の速度を遅くすると、浮腫や臓器障害を減らす事が出来るが、死亡率への影響については十分なデータがない。ブラジルHCor Research InstituteのZampieriらは、同国75箇所のICUに入室した重症患者(n=11,052)を、生理食塩液またはbalanced solutionを用いた輸液、および333 mL/hまたは999 mL/hの点滴速度に割り付ける、2x2 Factorialデザインによるランダム化比較試験BaSICSを実施し、点滴速度の結果について報告した。

結論

初日の輸液量は緩徐群で平均1162 mL、対照群では1252 mLであった。90日死亡率は緩徐群で26.6%、対照群で27.0%であった(調整ハザード比1.03)。2つの介入に有意な相互作用は認められなかった。

評価

輸液製剤についての結果とともにJAMA誌に発表された(https://doi.org/10.1001/jama.2021.11684)。輸液の投与速度については十分なエビデンスがないが、この試験の結果からは333 mL/hと999 mL/h、どちらも同様に安全と考えられる。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)