COVID-19への治療用量ヘパリン、重症患者では無益
Therapeutic Anticoagulation with Heparin in Critically Ill Patients with Covid-19
背景
COVID-19患者では血栓性合併症が好発するため予防的抗凝固療法が推奨されているが、重症患者の血栓症リスクはなお高く、強化用量での抗凝固療法の検討が進められてきた。REMAP-CAP, ACTIV-4a, and ATTACC Investigatorsは、適応型マルチプラットフォーム・ランダム化比較試験(REMAP-CAP・ACTIV-4a・ATTACC)において、重症COVID-19患者に対する治療用量ヘパリンでの抗凝固療法と各施設の標準ケアに準じた薬理学的抗凝固療法を比較した。
結論
事前指定無益性基準を満たしたため試験は中止された。一次アウトカムデータは1,098名で利用可能であった。生存退院患者における21日以内の臓器サポート不要日数は、治療用量群で中央値1日、標準ケア群で中央値4日であった(調整後比例オッズ比0.83; 無益性の事後確率99.9%)。生存退院率は62.7%、64.5%で同等であった(調整後オッズ比0.84)。
評価
重症患者での治療用量による抗凝固療法の有益性は認められなかった。同時に発表された、中等症までの患者における結果では対照的に臓器サポート不要日数の増加が示されている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2105911)。COVID-19での抗凝固療法については、さらに多くの臨床試験が行われている。